(1)外国人技能実習機構はHPで、監理団体と実習実施者に向けて周知文書を発表(令和3年6月18日付)しました。
https://www.otit.go.jp/files/user/210618-101.pdf
周知文の要点を、分かり易くお伝えすると、以下の様になります。
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1. 出入国在留管理庁はベトナム政府に対して、失踪者の発生が著しい5送出機関について、措置期間中(2021年8月18日~2022年2月18日の期間及びそれ以降、外国人技能実習機構HPで措置解除を公表するまでの間)は、当該送出機関からの新規の受入れを停止する、との通報をしました。
2. 5送出機関とは、ベトナム政府が認定した送出機関リスト
https://www.otit.go.jp/files/user/210610-1.pdf
のNo.11、No.77、No.99、No.132及びNo.141です。
No.11 HOA BINH IMPORT-EXPORT JOINT STOCK COMPANY(HOGAMEX)
No.77 Thai Nguyen Import Export Joint Stock Company(Batimex)
No.99 MH Vietnam Investment Promotion Joint Stock Company(MH VIET NAM.,JSC)
No.132 International ITC Joint Stock Company(ITC)
No.141 Song Hong International Human Resource and Trading Joint Stock Company(SONG HONG HR.,JSC)
なお、この周知とは別のLINE情報(ベトナムHRチャンネル)によれば、DOLABの発表(2021年6月6日付)で、次の送出機関が、認定リストから削除されたとのことです。
ライセンス取消し
Viet Nhat HR
JV-System
Hutraserco
Transmeco
ライセンス再提出
Saigon Inserco
Alsimexco.,JSC
Cienco No 1
Vinalines
3. 措置期間中は、外国人技能実習機構が受理したこれら5つの送出機関を利用する次の申請は,技能実習法令に定める送出機関の要件に適合しないものとして審査します。
すなわち、第1号技能実習計画認定申請は不認定、国内移行ケースを除く第2号及び第3号技能実習計画認定申請は不認定、監理団体許可申請は不許可処分、監理団体許可有効期間更新申請は不更新処分、事業区分変更許可申請は不許可処分となります。
4. 監理団体が措置期間中に留意すべき事項として、次の4つの行為の何れかを行った場合には、許可取消し等の行政処分の対象となる可能性があるとして、警告を発しています。
①これら5送出機関から、求職の申込みに係る取次ぎを受ける行為
②これら5送出機関から、求人・求職情報をやり取りする行為
③これら5送出機関から、採用面接の連絡調整等の職業紹介に係る行為
④実習実施者から、これら5送出機関の送出管理費等を徴収する行為。
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(2)そこで今回の周知内容に関連して、当事務所では以下の4点をアドバイスさせて頂きます。
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アドバイス1:
上記、5送出機関は、機構HPの送出機関リストに認定機関として掲載され、備考欄(remarks)に新規受入れ停止中等の記述はありませんので、ご注意願います。
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アドバイス2:
既に認定済の技能実習計画に関して、措置期間中において、または措置期間経過後に送出機関が認定リストから削除された場合において、替りの認定送出機関を選ぶ必要があるのか、という疑問へのアドバイスです。
結論としては、別途、替りの認定送出機関を選ぶ必要はありません。
理由としては、機構が特段、そのことを要求してはいないこと、及び認定リストから削除された送出機関もDOLAB(海外雇用管理局)の監督下にあり、在留中の実習生に対する支援や保護を義務として課せられていること、が挙げられます。
もし、代替の認定送出機関へ変更する場合には、技能実習計画軽微変更届出書(別記様式第3号)に、実習生と送出機関の間で締結した契約書等の写しを添付して、機構へ提出してください。
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アドバイス3:
現在、第1号または第2号で在籍中の実習生が、それぞれ第2号または第3号へ移行するための技能実習計画の認定申請に際して、措置期間中において、または措置期間経過後に移行前の送出機関が認定リストから削除された場合において、替りの認定送出機関を選んで、別記様式第1号第2面第9欄➉等に記載する必要があるのか、という疑問へのアドバイスです。
結論としては、替りの認定送出機関を選ぶ必要はありません。
理由は今回の留意事項に、「第2号及び第3号技能実習計画認定申請(国内移行ケースを除く)」については外国の送出機関の要件に適合しないものとして審査する、と記されているからです。
この丸括弧書きは、国内在留中の技能実習生に関しては、第1号から第2号への、また、第2号から第3号への移行に係る認定申請に関しては、送出機関が無い場合でも認定することを意味しています。
具体的には、別記様式第1号第2面第9欄➉に、「無し」と記入してください(空欄にすると追記連絡が来ます)。もちろん前述したように、替りの認定送出機関をここに記入しても問題ありません。
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アドバイス4:
送出機関が認定リストから削除される予定とされている状況下(措置期間中)において、または認定リストから削除された場合において、送出管理費をどのように取扱ったらよいのか、という疑問へのアドバイスです。
先ず、監理団体と実習実施者の関係ですが、前述の4. ④に記したように、監理団体が措置期間中に送出管理費を徴収する行為は、法令違反に該当する可能性があります。
法28条2項(規則37条)に当たらない金銭(送出管理費相当額)を徴収する行為が法令違反(法28条1項)に該当する、という理屈です。
ちなみに、送出機関が認定リストから削除された後での徴収は、今回は警告が発せられていますから、許可取消しや改善命令に直結すると思われます。
したがって措置期間中において、または措置期間経過後に認定リストから削除された場合において、この送出管理費に相当する金額を実習実施者から徴収することはできません。
次に注意しなくてはいけない点は、送出機関が認定リストから削除されても、監理団体の協定書や覚書等に、これに関する失効規定が無ければ、送出管理費に関わる契約が引き続き有効となる可能性があることです。
契約合意した範囲で、監理団体は送出管理費相当額の支払い義務を負い続けることになります。
実習実施者から徴収不可で、送出機関へ送金義務ということは、監理団体が自腹を切ることとなります。
送金を滞納すれば、送出機関が債務不履行の訴えを協定書記載の裁判所に起こすことも想定内です。
現地での裁判費用を含めれば、監理団体の財政基盤に影響しかねません。
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(3)いつの間にか、危機管理の話になってきました。
そう言えば、監理団体の実地検査の準備で読んだ協定書は、何れも判で押したような定型文ばかりでしたが、そこには大きなリスクが潜んでいることを、この機会に知って頂きたいと思います。
またこれを契機に、トラブルや紛争を最少にするためのリスク管理条項を、協定書等に追加しておくことをお薦め致します。
当事務所では予防法務に徹したサービスを提供するために、協定書その他の契約書のリーガルチェックサービスを提供しております。
個別に見積りさせて頂きますので、先ずはお電話、メール、ZOOM等で、お気軽にお問合せください。
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