1.「技能実習生、作業中事故で右腕を切断「説明が不十分」ベトナム人男性が会社提訴 約8,960万円の損害賠償」という記事(
山陽新聞5月22日7:32分配信)を読みました。
2.そこで参考までに、当事務所で作成した、監理団体の「技能実習生労災対応マニュアル」を公開致します。
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(1)通勤時の負傷(通勤災害)の場合
① 治療費の請求書類を作成します。
A: 労災指定病院にかかった
→ 病院に様式第16号の3(療養給付請求書)を提出
→ 窓口支払いは不要(病院が診療費用を労災保険に請求)
B: 労災指定されていない病院にかかった
→ 一旦、全額自己負担します
→ 様式第16号の5を労働基準監督署へ提出します
② 死傷病報告は提出不要です。
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(2)就業中の負傷(業務災害)の場合
① 治療費の請求書類を作成します(上記Aの場合、様式第5号、Bの場合、様式第7号)
② 死傷病報告の提出義務があります
A: 休業が1~3日
→ 労基署に、死傷病報告(様式第24号)を提出(提出期限は四半期ごと。例えば1~3月の災害の場合は4月末日、以下、7月末日、10月末日、翌年1月末日となります。)
→ 労災保険による休業補償は無し(事業主が補償します)
B: 休業が4日以上
→ 労基署に死傷病報告(様式第23号)を遅滞なく提出する義務
→ 休業補償請求書(様式第8号)を労基署に提出(提出期限の決まり無し)
つまり、実習生が就業中にケガをして、4日間以上休業したら、
・様式第23号と
・様式第8号を出す義務あり、
と覚えてください。様式第23号を労基署に提出したら、すぐに、労基が臨検に来る可能性があります。
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労災発生時の機構への対応は、次の4点です。
①機構の認定課に、技能実習実施困難時届出書(別記様式第18号)、休業3日以内は療養給付請求書(様式第5号)、休業4日以上は死傷病報告(様式第23号)の写しを提出。
②直ちに、実習実施者への臨時監査を行う。
③労災の原因究明。再発防止策の策定。それに基づく労働安全衛生教育を実施。母国語での危険表示も必須。
④実習実施者へ、機構の臨時検査が必ず入ります。再発防止策を詳しく問われます。
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3.労災の発生防止には、職種・作業別の多発事例学習とKY(危険予知)教育が非常に重要です。
危険な環境での実習が多い技能実習生は、労災により、取り返しのつかない損害を負う恐れがあります。
労災発生後にかかるコスト(経済的、時間的損失)に比べて、予防に必要な費用ははるかに少なくて済みます。
機構指導課での労災臨検の実務経験が豊富な当事務所へ、定期監査への同行等、早めの対策をおすすめ致します。